2017年1月18日水曜日

沉默(Silence)

同僚に誘われて、近所の映画館へ Silence を見に行ってきました。
家族に話すと、次女が「行きたい。」と興味を示したので
時代背景を話して、決して面白い内容ではないと断ったうえで、連れて行きました。


原作は遠藤周作の『沈黙』です。
ン十年前、学生の頃に読んで、しかも、遠藤周作作品を何冊かまとめて読んだため、
あらすじを思い出すのに時間がかかってしまいました…。

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江戸幕府がキリスト教を禁止し、鎖国をしていたころの日本。
ポルトガル宣教師のパードレ・フェレイラが棄教したという知らせを受け、
ロドリゴとガルぺがマカオ経由で五島列島に上陸する。
マカオで出会ったキチジローが隠れキリシタンの村へ案内するが、
後にキチジローはロドリゴを密告する。
キリシタン弾圧で次々と殉教していく者の中にガルぺの姿もあった。
棄教したフェレイラ、元信者であった長崎奉行の井上筑後守と出会い、
日本人にとって神と信仰の意義とは何か、苦悩する。
ロドリゴが棄教しないために、棄教を誓った者たちに惨たらしい拷問が続けられ、
自分の信仰を貫くか、棄教して信者たちを救うかの選択を迫られる。
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ストーリーはもちろん、キャスティングも素晴らしいと思いました。
日本からは、じい様の笈田ヨシ、茂吉の塚本晋也、
通訳の浅野忠信、井上筑後守にイッセー尾形。
そして、『アメイジング・スパイダーマン』でのピーター・パーカーのイメージが強かった
アンドリュー・ガーフィールドは、ロドリゴの苦しみや不条理に対する怒りを、
窪塚洋介は、キーパーソンのキチジローの持つ
人間の弱さ、いやらしさなどを見事に演じました。
日本人俳優の英語でのセリフ回しも味のあるものでした。

映像や音響のレベルも高く、ヒグラシの鳴く声だけで始まり、
徐々に音が大きくなったところで無音になり
Silence とタイトルを出すなど、ニクい演出です。
江戸時代の日本を再現した村や港や奉行所、
海の波や夏の日差しや霧までも、緻密に計算されたもののようで、
さらに臨場感を醸し出していました。

映画の冒頭、日本語で始まったのに字幕が出なかったので、
次女が小声で「字幕がない」とつぶやき、私も「あれ?」と思いました。
ストーリーに影響がないので出さなかったのでしょうか。
長崎が舞台で、方言も自然な印象を受けましたが、
踏み絵のシーンで幕臣が「踏め」と命令しているのを
”Fume.”とそのままローマ字で字幕を出したのも不思議でした。

最後のシーンでは、魂が解き放たれたように感じました。


余談1:
映画館は Super Tuesday と銘打っていて、火曜日の料金は6ドル。
しかもバケツのようなラージサイズのポップコーンも5ドル。
さらに「こんなに大きくてMサイズ?」の炭酸も5ドル。
3時間の上映時間に、次女はポップコーンを半分くらい食べました。

余談2:
映画が終わって夫の迎えを待っていたら、おばあさんに
「どう思った?」と話しかけられました。
感想を誰かと交流したくなったようで、こんな時、
自分の英語力が低くてうまく伝えられないのはもどかしい。
でも、今回の感想は日本語でもうまく表現できないかも。





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